書評コーナー REVIEWS
- 歯科医院経営・総合情報誌『アポロニア』 No.229 2013年1月号
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著者は、神奈川リハビリテーション病院の歯科口腔外科部長を務める歯科医師であると同時に、日本音楽療法学会認定の音楽療法士。従来は歯科医療従事者の間ですら「口腔ケア=口腔清掃」と考える向きが強かったが、近年、口腔清掃状態の維持・改善だけでなく、口腔機能の維持・改善が極めて重要だと認識されるようになってきた。
本書は障害者歯科医療の現場での実践から、「歌うことによる介護予防」という新たな考え方を提唱し、高齢者音楽療法の具体的な方法を紹介。それに加え、介護保険制度の概要、摂食嚥下機能改善の評価リストも付いている。
音楽を活用する口腔機能訓練は、一部の病院や介護施設で食事前に行われるようになってきており、本格的な音楽療法の導入は、高齢者医療や介護に関わっている医療職・介護職にとって関心の高いところだろう。本書を読むと、誤嚥性肺炎予防のための高齢者への口腔機能訓練は、舌尖挙上運動、吸啜運動、口唇閉鎖など、乳児が口腔機能を獲得していく過程に似ていることが分かる。歌うことも、失われた口腔機能を再び獲得するのに効果が高いということだ。
すぐに使えるよう、高齢者が歌いやすいポピュラーな楽曲の楽譜が多数掲載されており、一見すると口腔ケアの本には見えないのが面白い。
